乳酸菌発酵酒粕さかすけって何者?

お疲れ様です。Hacco to go!開発責任者の石橋です。

先日、ブログでご紹介した、おばちゃんが顔をしかめた乳酸菌で発酵させた酒粕

 

実はちょっと深いお話になりますが、私たちがシェイクやスムージーの素に使っている「乳酸菌発酵酒かす」は、県内で見つかった乳酸菌を使用しています。

一番最初にお預かりしたのは、こちらの乳酸菌発酵酒かす「さかすけ」。

酒粕のアルコールを飛ばし、乳酸菌を加えてもう一度発酵させた食材です。

乳酸菌発酵酒粕は酒粕のアルコールを飛ばして乳酸菌で発酵したもの

昭和5年に創立された、日本酒の製造に関する研究を行う「新潟県醸造試験場」。

酒粕の研究もしている新潟県醸造試験場

 

こちらは日本酒造りの指導(蔵人や杜氏の若手を指導する)や、更に美味しく作るための技術を研究開発している県の機関です。

先ほどの「さかすけ」という名前の「乳酸菌発酵酒かす」の生みの親は、この醸造試験場長の金桶先生。

1時間半くらいたっぷりとお話をさせてもらったことがありますが、
穏やかで、丁寧に教えてくださってとても優しい先生です。

 

少し専門的な話になりますが、以下の3種類を「さかすけ菌」として認定していて、酒造組合の蔵で作ること、という決まりがあります。

~さかすけ菌~ 
・SK-4(さかすけ菌K-4) *醸造試験場の酒粕から分離した乳酸菌(ラクトバチルス プランタラム)

・SV-8菌(さかすけ菌V-8) *発酵乳から分離した乳酸菌(ラクトバチルス ブレビス)

・SH-10菌(さかすけ菌H-10) *家庭の漬物から分離した乳酸菌(ロイコノストック メゼンデロイデス)

 

菌株のライセンスを県が保有しているので、契約している蔵元でのみ製造が可能ということですね。

 

詳しくは酒造組合のHPに、さかすけ菌の効能などが書かれています。

さかすけはこの3種類の菌を1種類だけとか、2種類合わせてとか、蔵によってちょっとずつ変えていて、また使うお米や酵母によってもだいぶ味が変わるので、それぞれの蔵の特徴が出て大変面白い食材です。

 

なんで乳酸菌発酵酒粕がいいのか。

さかすけの効能を見ると、「アレルギー性鼻炎の抑制」「肥満予防」「血圧上昇抑制」「がん予防」なんていう結果がでていて、現在も大学で人体研究中だそうで、実はまだまだエビデンスが出てきそうな感じなのです。

栄養価の話ばかりだと、なんだかどこかの製薬会社とかサプリメントのメーカーみたいで、うさん臭くなりそうで嫌だなぁ。。やめよう。

何でHacco to go!が、この酒粕を使いたいのかって言うと、確実に食べられる人が増えるという事

 

酒粕の廃棄ロスをなくそう!って言っときながら、お風呂でドバーッと使えばいいじゃん!と言いながら、水を毎日濁しちゃうのもどうかと思うし、化粧品とか外用がいいんじゃない?と言われるけど、それも結局エキスを抽出して残りは廃棄ですよね。それはもっと意味ないなって。

 

乳酸菌発酵させるときに、加熱でアルコールを飛ばすんですが
1年半くらい毎回残留アルコール測定をしてもらっていて、0.3~0.4%/100g程度なんです。

ということは、シェイクやスムージーにすると、果物や豆乳などで割るので最終的に0.1%以下になります。

酒粕シェイクはヨーグルトのような味わい。

「ノンアルコール」と同じくらいですね。

という事は、お子さんでも飲めるし、朝から飲んでも怒られない!(←これ重要。)

うちの大おばあちゃんは、昔酒粕がおやつだった時代の人なので、
平気でちびっこだったうちの息子にも食べさせたりしてましたけどね(笑)
さすがに慌てて止めましたが・・・。

生洋菓子なんかはスポンジにキルシュなんかをたっぷりしみこませていたりするので、お菓子の方がアルコール度数が高い場合もあります。

要するに、誰もが、いつでも食べられる食材になった!

ということ。
加工って素晴らしい。

 

コシヒカリじゃないのに「ウオヌマ」がつくスゴイ菌

魚沼コシヒカリは、きっと皆さんが知っていてくださるお米の品種かなとおもいます。

新潟県の「北魚沼郡」「中魚沼郡」「南魚沼郡」の3郡で採れたコシヒカリを、「魚沼コシヒカリ」と呼んでいます。新潟を代表するブランド米ですね。

新潟県の中でもこの魚沼地方は雪深い事でも有名。

そして、昔からその雪を利用した「雪室(ゆきむろ)」という、冷蔵庫のような保管庫を作っています。

雪室の効果

雪室推進プロジェクトさんから図を拝借しました。とても分かりやすいです。

部屋を二つに分け、片方に沢山の雪を詰め込みます。
その冷気が隣の部屋に貯蔵してある食べ物を冷やすので、
長い時間保管しておけるという仕組みです。

「ウオヌマ」が付く菌は、この雪室から見つかりました。

「乳酸菌ウオヌマ株」は、雪室に保存してある漬物から見つかったんです。

 

いつもお世話になっている、新潟県食品研究センターの西脇先生が発見された、雪国育ちの乳酸菌。

L.sakeiなので、日本酒の生酛に乳酸を生成する乳酸菌の仲間になりますね。

 

酒造りの工程から酒粕ができます

さて問題は、この乳酸菌は何がどういいのか。・・・という事。

私たち食品業者にとっては、夢のような乳酸菌なのですね。
「なぜか!?」・・・

 

乳酸菌ウオヌマ株の驚くべき特徴

特徴①低温耐性があるという事

要するに、低い温度でも繁殖できる、という事。

普通、乳酸菌という菌は人間の体温と同じくらいで活発に繁殖します。
「お腹の中で生きて働く」のは、人間の体温が好きだから。(だけではありませんが・・)

一般的な菌というのは、人間と一緒で適温や好環境があり、
ぬくぬくで、美味しいものがあり、お水もあって、過ごしやすければ繁殖できます。

乳酸菌ウオヌマ株というのは、0~7度くらいしかない雪室という低温のなかで耐える乳酸菌なので、
他の一般的な菌が「こんなクソ寒いところ耐えられんわ!」と、繁殖できなくなるため
雑菌を繁殖させずに乳酸菌だけを繁殖することが可能になります。これ本当にすごい事。

特徴②酸っぱくならない。

このウオヌマ株は低い温度でゆっくりと育つため、乳酸菌特有の「乳酸」という酸っぱい素を出す量が少ないのです。

プレーンヨーグルトを思い出してください。

プレーンヨーグルト

酸っぱくて、できればお砂糖やはちみつをかけて食べたくなりますよね。

ウオヌマ株はこの酸っぱい素が他の乳酸菌より少ないので、酸味が穏やか。
雪国育ちは優しいのです。

特徴③食塩濃度6%まで繁殖可能

もともと漬物から見つかっていますので、6%という濃度の食塩でも繁殖ができます。

乳酸菌が他の雑菌を防ぐので、日持ちするお漬物も可能になります。

 

だから、新潟の酒粕と合わせたい。

酒粕の廃棄ゼロを目指すHacco to go!プロジェクト。

酒粕活用プロジェクトHacco to go!

酒粕が美味しくなって、食べやすくなって、みんなにとって「良い!」が重なれば、必ずライフバリューになる!と考えています。

人間の味覚の中で「甘味」は安心を示すのに対して、「酸味」は「警告」を示す味。
どちらかというと、避けられてしまう味覚です。

乳酸菌ウオヌマ株を使うことによって、酸味が穏やかになり、酒粕本来のうまみを引き出すことが可能になります。

雪国育ちの乳酸菌が、新潟の酒粕を爽やかに、美味しくしてくれました。

今日も、お店に来て下さったお客様に、この乳酸菌発酵酒粕を使ったオリジナルの甘酒を試飲でお出ししたのですが、「美味しい!こんな甘酒初めて!買えるなら買って帰りたい!」とおっしゃってくださいました。

 

店舗ではお客さまのご意見も頂戴しています。
これまでご来店下さったお客様の生の声もご紹介したいと思います。
そして、気になる!と思って、これからご来店いただくお客様、商品を購入してくださるお客様も、どうぞご遠慮なくご意見ください。

酒粕がもっとおいしく、身近になることで「廃棄ゼロ」が可能になると信じています。

それには皆さんの声が必要です。

これからもどんなご意見も頂戴出来ると有り難いので、全店でスタッフにご意見をお寄せください。お待ちしております<(_ _)>

 

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